JR東海のHC85系が2023年ブルーリボン賞を受賞。
▼鉄道友の会は5月25日に、2023年ブルーリボン賞・ローレル賞の決定を発表しました。
https://www.jrc.gr.jp/files/BLPress_2023.pdf
▼ブルーリボン賞は、JR東海のHC85系、ローレル賞は、京都市交通局の20系を選定しました。
▼今回は、ブルーリボン賞を受賞したJR東海のHC85系について、その選定理由などについてみていきたいと思います。
▼HC85系は、高山本線「ひだ」及び紀勢本線「南紀」で運用されてきたキハ85系の置き換え用として開発された非電化線区用特急車両です。
▼発電装置と蓄電池を使ったハイブリッドシステムの車両で、国内最高速の120km/hを実現しています。
▼各機器を小型化・一体化して床下に配置し、屋上は空調機器など最低限の機器を設置しています。
▼エンジンは1両あたり1台でキハ85系に比べて半分となりました。また、燃費の向上、環境負荷の軽減、車両内外の騒音の低減に寄与しています。
▼エンジンは中間に吊枠を挟んだ二段の防振ゴムで取り付けられ、振動・騒音を大幅に抑えて客室の環境改善に努めています。
▼車体はフラットな表面を持つステンレス製で、先頭車両はキハ85系と異なり、貫通形のみとして編成の自由度を高めています。
▼客室では、「ナノミュージアム」と名付けられた沿線の伝統工芸品などの展示スペースを設けています。
▼車いすスペース、多機能トイレなどのバリヤフリー、ユニバーサルデザインの充実を図っています。
▼全席にコンセントを設置し、車内Wi-Fiサービス、大型荷物対応スペースも備えています。
▼非常通話装置のほか、客室やデッキには防犯カメラが設置され、乗務員だけでなく、指令所からも通信システムを介してリアルタイムで確認できるようになっており、異常発生時などで迅速な対応が可能となっています。
▼この通信システムでは、エンジンなどの主要機器の状態を常時監視でき、不具合の予兆を早期に把握し、車両メンテナンスに貢献するほか、列車内表示器を通じて、ダイヤの乱れなどタイムリーな情報を乗客に伝達できます。
▼こうした性能を持つHC85系が2023年ブルーリボン賞にふさわしいと評価され、今回の受賞となりました。
▼JR東海のブルーリボン賞の受賞は、2008年のN700系の受賞以来15年ぶりです。今回は、コロナ禍の厳しい環境にある鉄道業界にあって、新車の開発が遅れているなかで、明るい話題の一つとなりました。
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