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JR西日本が発表した降積雪時における輸送の安全の確保及び乗客の救護への対応について

▼JR西日本は、2月17日に、先月24日から京都地区を中心とした降積雪時の、乗客の長時間にわたる車内での閉じ込めが、発生したことなどの不手際について、その対応を検証し、再発防止に努める対策を取りまとめたと、発表しました。

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230217_00_press_gohoukku.pdf

▼そこで、今回は、このことについてみていきたいと思います。

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▼まず、2月24日の琵琶湖線・京都線における輸送障害による駅間停車の状況について触れられています。
京都駅での積雪は17時で0センチ、気温マイナス0.8度だったのが、1時間後の18時では、積雪7センチ、気温はマイナス1.8度に急激に変化していました。

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▼その後、19時に、向日町駅のポイント故障発生、以後駅間停車が生じました。19時36分には、山科駅のポイント故障発生、以後、駅間停車が生じました。さらに、20時15分に、京都駅のポイント故障が発生、以後、駅間停車が生じました。

▼結局、山科駅・京都駅間で、上り2本、下り2本、京都駅・西大路駅間で、上り2本、西大路駅・桂川駅間で、上り3本、桂川駅・向日町駅間で、下り3本、向日町駅・長岡京駅間で、上り1本、山崎駅・島本駅間で、上り2本が駅間停車していました。

▼閉じ込められた乗客は全部で6,780名にのぼり、うち体調不良の乗客は16名になりました。山科駅・京都駅間に停車した上り「う4033M」及び「1820M」の両列車では、一部が駅間での降車を余儀なくされました。あとの13本の列車では、すべて、駅のホームでの降車を行いました。

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▼乗客の降車が翌1月25日5時30分までかかった「1820M」列車では、当初、22時50分になってようやく駅間での降車を決定し、23時5分に乗客の誘導が始まりました。しかし、線路から外へ出る門扉への階段が滑り、移動に時間がかかり、2時に山科駅への誘導に変更。

▼しかし、これも鉄橋上の歩道が狭く、凍結していたので、時間がかかり、結局、乗客の降車が完了したのが、5時30分になりました。
琵琶湖線、京都線での降積雪による輸送障害としては、ポイントの故障が計21か所、山科駅・島本駅間で計15本の列車が駅間停車を発生し、長時間の車内閉じ込めにより、16名の乗客が救急搬送される事態となりました。

▼この間、乗客への支援として、京都市、野洲市、守山市などの自治体が職員の派遣、飲料・防寒シート・毛布の配布、一時的な避難場所の開設などを行いました。

▼現地でポイント故障の解消に従事した社員は、山科駅で17名、京都駅で27名、向日町駅で10名、計54名でありました。
こうした事態をふまえ、JR西日本では、今後の再発防止策について述べています。

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▼まず、乗客への対応としては、60分を目安とした降車誘導判断を再徹底する、体調不良の乗客への対応を最優先として、消防署への通報を徹底する、駅間停車列車、解消に向けた、指令の対応能力を向上させる、としています。

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▼駅間降車の対応としては、臨機に小移動の措置を取れるように駅間停車の対応訓練を行う、最適ルートが選択できるよう、既存の避難誘導マップを改良して活用する、としています。

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▼情報提供について、復旧等のフェーズに合わせた乗客への情報提供を行う、訓練の中で、異常時の情報伝達等を定期的に検証する、としています。

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▼次に、気象予測に基づく対応としては、早期注意情報で対策本部及び現地対策本部を設置するよう、基準の見直しを行う、京都エリアにおける降積雪時の計画運休や間引き運転の考え方を明確化する、としています。

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▼融雪器を使用しなかったことについては、融雪器点火の目安を気温主体に見直すとともに、基準はあくまで目安であり、駅長が現地の状況を踏まえて判断することとする、降積雪時のポイントの故障を防止するため、京阪神全域の融雪器を遠隔式または長時間稼働式等に強化する、としています。

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▼自治体等に支援要請ができていなかったことについては、自治体等の関係機関と輸送障害発生時の対応について、協力体制を強化する、乗客救護や一時滞在施設への受け入れ等の対応が見込まれる関係機関に対し、迅速かつ幅広く支援を要請する、としています。

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▼この対応策から見えてくるものは、これまで、既存の基準にとらわれすぎていること、現地の状況が十分把握できない運転指令の命令が絶対であること、気象予測に対する読みが甘く、計画運休や間引き運転について明確な考え方がないこと、京阪神エリアでの融雪器の使用を甘くみて、機能がよくないこと、緊急時の自治体との連携が不十分なこと、などが見えてきました。

▼今後は、より現地での状況を把握している現場の職員の判断に委ねることが必要であるし、自治体等の関係機関との連携も必要でしょう。

▼ちなみに、今回の事態に対して、社長、副社長、近畿統括本部長が、月額報酬5割・1か月返上すると発表しています。また、近畿統括本部近畿総合指令所長が、更迭されました。いわゆるトカゲのしっぽ切りで、トップの首は切られず、下っ端の首が飛ばされました。こんなところにも、親方日の丸の旧国鉄の影が見えます。

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230217_99_press_henjou.pdf

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コメント

当然の対応ではありますが、
改善策を策定したのは一歩前進だと思います。
JRは技術面では民鉄とは比較にならないほど優れているのに、
お客様対応はお話にならないほどの体たらくなので、
今回の大失態を機に多少なりとも改善されることを望みます。

投稿: るーと | 2023年2月18日 (土) 23時29分

JRは民営化されてもう36年になりますが、安全と乗客サービスの面では、まだまだ、旧国鉄の影が見えますね。
旧国鉄からの人材がいなくなったら変わるのでしょうか。

投稿: kumoha313 | 2023年2月19日 (日) 19時17分

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