値上げの季節。(近畿日本鉄道・鉄軌道旅客運賃の改定申請の認可)
▼近畿日本鉄道は、2022年4月15日に変更認可申請を行っていた鉄軌道旅客運賃の改定が国土交通大臣より認可されたと、9月2日に発表しました。
https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/HP_unchinninka.pdf
▼改定理由としては、沿線の少子高齢化等による乗客の減少、昨今の新型コロナウイルス感染症流行によるさらなる利用の減少など事業環境が厳しくなっており、オンラインによる新しい生活様式により、収入減少を補うことは困難としています。
▼一方で、健全な鉄道運営を維持するため、車両・設備の更新、バイアフリー整備、防災対策などを継続的に行い、安全性・利便性を確保する必要があるため、今回の運賃改定を実施したいというものです。
▼運賃改定の実施は2023年4月1日の予定。改定される普通旅客運賃の概要は次のとおりです。初乗り運賃・大人(1~3キロ)が160円から180円に、大阪難波~近鉄奈良間が570円から680円に、大阪難波~近鉄名古屋間が2,410円から2,860円に、京都~橿原神宮前間が900円から1,070円に、大阪難波~宇治山田間が1,830円から2,170円に、近鉄名古屋~宇治山田間が1,410円から1,740円になります。
▼通勤定期・大人では、大阪難波~近鉄奈良間で1か月19,960円が23,680円に、京都~奈良間で20,980円が24,880円に、大阪上本町~大和八木間で20,400円が24,180円に、大阪阿部野橋~古市間で16,880円が20,000円に値上げとなります。
▼普通運賃の改定率は17.2%、増収率は14.7%、通勤定期の改定率は18.3%、増収率は17.0%、通学定期の改定率は9.2%、増収率は7.8%を見込んでいます。
▼普通運賃では10キロまでの短距離区間は、改定率を12.5%~15.4%に抑え、通学定期については、改定率を通勤定期の約半分に抑えているとのことです。
▼また、加賃運賃がある吉野線、湯の山線、鳥羽線、志摩線、けいはんな線、特急料金及び鋼索線の運賃は改定を行わないとしています。
▼運賃値上げによる増収などを原資として、2023年度から2025年度までの間、設備の健全性維持、安全・防災対策、既存車両の改修等に約530億円を投じるほか、一般車両の更新などに約180億円、バリアフリー整備加速化に約60億円、次世代の営業機器導入に約60億円、将来へ向けた技術開発に約30億円を実施するとしています。
▼鉄軌道部門の収支の実績及び推定によると、2020年度の収支差は実績で、448億2,200万円の赤字、収支率は69.1%となっており、今後運賃改定により、2023年度から2025年度までの3年間で、収支差が326億5.300万円の赤字、収支率で92.9%になるとしています。
▼今回の運賃値上げがかなり大幅なものであり、利用者への影響は大きいものがありますが、少子高齢化、コロナ禍の影響などで収益は悪化する一方で、背に腹は代えられぬということでしょうか。
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コメント
値上げは致し方ない面がありますが、
率が高めなのが気になります。
かつての国鉄のようにならなければよいのですが。
投稿: るーと | 2022年9月 4日 (日) 23時14分
乗客数減少⇒値上げ⇒さらに乗客数減少
といった負のラスパイレスに
陥ることのないよう祈りたいです。
投稿: kumoha313 | 2022年9月 5日 (月) 00時28分