リニア・鉄道館を訪問。感想。
▼6回にわたってリニア・鉄道館をご紹介してきましたが、最後に全体的な感想を書いてみたいと思います。
▼さすがにJR東海ということもあって、館内に入ってすぐのシンボル展示はリキが入っています。C62形蒸気機関車、300X、MLX01-1と、過去、現在、未来へと鉄道の進化を指し示す展示。 リニア新幹線の建設を推し進める鉄道会社としての最大限のアピールといったところでしょうか。
▼続いては、車両展示エリア。この場所には、0系から300系までの往年の新幹線について先頭車や食堂車などが半分以上の面積で展示されています。あとの半分はC57型蒸気機関車、わが国初期の電気機関車や電車などの展示、昭和の終わりごろまでの特急車両などが展示されています。外観だけでなく、一部は車内まで入ることが出来ます。
▼車両展示エリアの両端には、それぞれ、鉄道を詳しく紹介した展示コーナーがあります。「鉄道のしくみ」コーナーでは、レール、ポイント、架線、台車、パンタグラフ、マルス(きっぷ予約システム)、自動改札機などの文字どおり鉄道の仕組みの解説がされています。
▼もう一方の端には、「鉄道ジオラマ」「新幹線シミュレータ」「在来線シミュレータ」「超伝導リニア展示室」が設けられています。今流行の巨大なジオラマは鉄道ファンのみならず多くの見学者の目を奪うことでしょう。
▼シミュレータコーナーでは、実際に鉄道の運転や車掌業務を体験することが出来、これまた鉄道ファンを楽しませることでしょう。また、「超伝導リニア展示室」では500キロのリニア列鉄道のスピードを体験でき、東京・大阪1時間を実感することが出来るかもしれません。
▼1階には、そのほか、収蔵車両エリアがあり、ここにも新幹線、在来線、業務車両などが展示されています。
▼2階には、「収蔵展示室」「歴史展示室」 「映像シアター」「体験学習室」などがあります。「収蔵展示室」は過去の鉄道に関わる物品が展示され、「歴史展示室」には新幹線の建設の歩みなどの展示がされています。
▼JR西日本の交通科学館やJR東日本の鉄道博物館などと比べて、新幹線にかなりボリュームが割かれているのがこの館の特徴だといえるでしょう。新幹線に代わる将来の鉄道としてリニアを推進する姿勢も顕著であります。
▼膨大な展示車両には圧倒されるものがあります。わが国の鉄道史上重要な車両群の展示は素晴らしいものです。
▼こうした実車の展示はそれはそれで資料館としての意義はあるのですが、博物館としての機能である収集機能や調査研究機能は、展示コーナーから推察すると、少し目に見える形では弱いような感じを持ちました。PR館としての役割のほうが大きいように思えます。
▼埼玉の鉄道博物館はまだ見学してないので、詳しく比較はすることはできませんが、交通科学館、秋葉原にあった鉄道博物館の前身などを見学した感想からして、少しそういう印象を受けました。
▼あと、心配なことがひとつ。このリニア・鉄道館の立地は、名古屋港の金城埠頭にあります。東日本大震災以降、もし、こうした湾岸に大津波が襲ってきたら、このエリアも被害が生じるかもしれません。その時に、ここに展示されている歴史的な遺産ともいえる車両群がダメージを受けずに残ることが出来かどうか。少し危惧を感じざるを得ません。
▼いろいろな思いはあるものの、日本に鉄道に関する博物館が多く誕生してくることは、鉄道ファンとしては大変喜ばしいことであり、今後も私鉄も含めて沢山の鉄道に関する博物館が増えることを期待してやまないものです。
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