快調のようです。あれから1周年。【九州新幹線全線開通】
▼東日本大震災の翌日という、大混乱の中で迎えた全線開通ではあり、出端は挫かれたものの、どうやら、営業成績は好調のようです。
▼JRWの3月の社長記者会見では、九州新幹線全通1周年を顧みて、次のように述べています。
● 九州新幹線の利用状況の指標となる小倉~博多駅間の新幹線の利用状況については、昨年3月開業後1年間のトータルで対前年比119%となった。
● しかし、1月は116%、2月は114%となり、ややご利用のスローダウンの傾向が始まっているようにも見える。
● 危機的な状況とは考えてないが、さまざまな営業施策を展開することにより、この傾向に歯止めをかけたいと考えている。
●当社管内から九州方面の個人型旅行商品の販売実績は、熊本方面は前年比5倍、鹿児島方面は15倍と大変好調。
●また、航空機とのシェアについては明確な数値はなく、想定ではあるが、直通運転開始前と比べて京阪神~鹿児島駅間で約10%が40%に、京阪神~熊本駅間で約30%が60%に拡大し、いずれも好調であると考えている。
●その結果、直通運転開始による増収予想を、年度当初では85億円と見込んでいたが、第3四半期決算において165億円に上方修正した。
●この1年を見ると、山陽新幹線の利用は非常に好調であり、とりわけ九州直通新幹線が大きく貢献しているが、少し陰りが見え始めたことから、これに対する対策を講じていきたいと考えている。ちなみに、九州方面へ向かう客の約4割程度が、「観光目的」の客である。
▼利用状況、パック旅行販売実績、航空機とのシェア、収益とも好調そのもののようですね。しかしながら、少しその好調さに翳りが見えてきたため、てこ入れを図るようです。
▼その施策は次のようなものです。
◎今春のダイヤ改正で「みずほ」「さくら」の定期列車15往復を23往復に増発
◎地域と連携したキャンペーン
◎修学旅行の需要への対応
◎訪日外国人向けの商品市場への対応
◎南九州から関西への逆集客施策
◎JR九州と連携した九州地区での宣伝
▼いずれにしても、大震災で大打撃を受けたJR東日本との大違いで、好調に推移して中での、更なるてこ入れということができます。
▼山陽・九州新幹線の相互乗り入れは、予想以上に利用者に受け入れられたようです。乗り換えなしの利便性は大いに発揮されたわけです。JR九州もJR西日本もJR東海などと比べると営業的に磐石ではないので、新幹線の相互乗り入れがすんなり合意されたのでしょう。
▼航空各社も関西圏から南九州へのシェアを奪われ、ショックを受けていることでしょう。熊本、鹿児島も空港は市内からバスで1時間余りかかるため、所要時間トータルでは、新幹線が利便性で勝るとも言えます。航空会社が今後どういう営業攻勢をかけてくるか、見ものといえば見ものでしょうね。
▼不運な出だしではありましたが、九州新幹線は山陽新幹線との直通運転、豊富な観光資源などを魅力に大ヒットとなったようです。JR九州としては、脆弱な在来線の維持のためにも、在来線とネットワークを強固にして、これからも新幹線を稼ぎ頭としていくことでしょう。
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コメント
観光需要の比率が高くなると、
とりわけリピーターの確保が重要ですね。
JR九州は、そのあたりを意識して
個性的な列車を次々と送り出していますが、
がんばってほしいものですね。
投稿: るーと | 2012年3月23日 (金) 23時18分
るーとさん。
JR九州は、集客のため、
多くの目を引くデザインの列車や
面白い観光列車を運行しています。
新幹線とのネットワークが
強みとなるといいですね。
投稿: kumoha313 | 2012年3月24日 (土) 09時11分